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    房一が道平を送つて行くことになつた。

    「――へえ、まだお帰りぢやないのかね」

    「連れっ子をして行ったです。その子供がまたチブスになって、……」

    「さうです。――どうかなさつたかね」

    房一は苦が笑ひをした。

    「あ、いゝ、いゝ。なんでもありやしない。今すぐ行かう」

    「おい、今高間君が来ていたんだよ」

    が、自分の家の前あたりまで来たとき、かなり先きの通りに四つ五つの人影が黒くかたまつて立つているのを見た。何をしているのか判らない。房一はそのまゝ家の中に入つた。

    「よし!」

    「お髯がなくなりましたわ」

    別に会ふ気がなかつたから、と云ふ代りに、

    思はず時間がたつてしまつた。房一は腰を上げた。前脚の上に顎をのせて長々と寝そべつていた犬は急に起き上つて身ぶるひした。徳次は、房一の往診の時間を大分遅らせたのにやつと気づいた。

    「なに、訴訟?」

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