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「よし、それでは預つとかう」
そして、徹夜の仕事を連続していると、視神経の疲れが何よりの悪刺戟になることがのみこめてくる。もっとも、私は強度の近視のところへ、遠視が加わったから、メガネをかけても外してもグアイが悪いのである。それがメガネのツルを支えている鼻梁の疲れを代表者として頭の廻転に鈍痛を加えてくるのである。
ところが驚いたことにはこの男は、房一があらゆる初対面でやる鹿爪らしい挨拶の文句を今やはじめようとしたときに、いきなり前に立ちはだかるやうに、と云ふより、殆ど気づまりのするほど真正面に近々と顔をよせて、おまけに露骨に房一の顔を見入りながら、
「怪我人ができたのかね」
川では鮎漁がはじまつていた。
と、腰をたゝいてみせた。そこにはまだ一足、紙衣の下からはみ出すやうに、ぶら下つていた。
「あ、さうでしたな。一つ診ていたゞきませう」
「何でも大分前からこゝの御隠居にかけ合つていたさうぢやありませんか」
と云つた。
「ひどい傷だねえ!」
「やあ。――こちらへ」
「ふむ、トンネルのハッパだな」
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