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    徳次は人の好い、いかにもさう信じこんだやうな眼で二人を眺めた。

    「やつぱり、あんただつた」

    富田は庄谷の方に向きなほつた。

    「さやうでござりますか」

    「さうよ。てめえはその大将だらう」

    「や、失礼、おさきに」

    このポインタアの雑種は、房一の往診にはどこへでもついて来た。いゝ路づれだつた。

    小谷は酔つて来たのだらう、何度も同じ手真似をして見せた。

    広い家の中では盛子一人だつた。もうとつくに羽織袴も居間に出して置いたし、履物も足袋も揃へた。帰りさへすればすぐにも出かけられるのだ。だが、足音も聞えはしない。盛子はさつきから何度も玄関に出てみたり、それから裏口から外の小路に出て河原の方をすかし見たりした。

    この分では永くなりさうだと思つて、房一が腰を浮かし気味にすると、

    「あゝ、さうか。あゝ、さうか」

    房一が云ひかけると

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