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不幸なことに房一の予測はあたつた。いや、それ以下とも云へた。
「先生、どうしなさる?着て行きますかい」
房一は目を上げて注意深く道平を見た。
が、材木置場の混乱にもかゝはらず、そこから一段と小高くなつている出張所の構内では、やはり高張提灯がかゝげられ、焚火が燃え、人が立つて歩いていたが、をかしい位にひつそりし、柵のところにかたまつた人影は下方の混乱を黙つて見物しているとしか見えなかつた。
と、房一を誘つていた。
そこには、ついこなひだまで足ならしのよちよち歩きをしていた筈の道平が、本家の孫息子につき添はれてではあつたが、ちやんと一人立ちになつて、ゆつくりゆつくり足を踏み出していた。病後で彼の顔は大分変つていた。その左側の半分には、まだ心持ひきつゝたやうな痕跡がのこつて、したがつて、そつち側だけの眼と唇がいくらか引つ張つたやうになつている。だが、その不自由な表情の中には何か懸命な、かうして歩いて来たことを見てもらへるといふ悦びが明かに漲みなぎつていた。
「ジョン、降りろ」
房一はすつかり夢中になつていた。
「うん」
房一は白シャツを着た小柄な大工と並んで立ちながら、玄関を眺めて云つた。
彼はそれを云ひに来たのだつた。
あるとき一人の女の客が私に話をした。
「どうしたんですの?何かあつたんですか」
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